
インカトレールとはそもそもはインカ帝国時代に築き上げられた道路網のことですが、一般に言う「インカトレール」とはそのインカ時代の旧街道を歩くトレッキングルートのことです。かつてのインカ帝国の首都クスコ郊外から幻の空中都市マチュピチュ遺跡まで歩く3~4日程度のコースで、南米で最もポピュラーなトレッキングルートとして人気があります。
この他にもインカ時代の旧街道を歩くトレッキングルートはいろいろあります。近年上記の「インカトレール」の入山希望者が増えすぎ、数カ月間に申込まないと入山許可が取れない状態が続いていますので、むしろ別のインカ旧街道を歩いた方が静かで面白いのでは、とも思っています。いずれのルートもインカ時代に作られたものであれば途中随所に遺跡などが見られ、普通のただ自然を楽しむだけのトレッキングとは違う、アンデスらしい変わった旅を楽しめます。
ところで、なぜトレッキングで遺跡巡りをするのでしょうか? これが大事な点です。実はインカ文明には車輪、タイヤというものがありませんでした。ですから多くの遺跡は山の中にあります。普通のツアーで行ける、つまり車でいける遺跡は全体から見ればごく一部でしかないのです。実際、あの有名なマチュピチュ遺跡へも道がないので車では行けません。ただ、観光用の列車が通っていますからそれを利用します。このようにインカ時代の多くの遺跡は山の中にあり、インカ旧街道を歩くとそう言ったあまり知られていない遺跡を訪ねることができます。
500年前の人と同じ道を同じ方法で、つまり歩いて行く訳ですから、残された遺跡の意味が実感できます。たとえば山の中にある小さな遺跡は大体が関所及び休憩所です。そして実際に歩いてみると、この関所、休憩所は峠や谷間、分岐など実に適切な場所に配置されていたのが分かります。トレッキングをしながら遺跡めぐりをする楽しみはここにあります。インカトレールや他のインカ旧街道トレッキングは、普通のトレッキングという枠にとらわれず、歴史に興味のある方にもお勧めのコースです。
